パルスダイレーザー治療
パルスダイレーザー治療
当院で行う治療
パルスダイレーザー治療(シナジーJ)とは
パルスダイレーザー治療は595nmという波長のレーザーを用いて治療をおこないます。赤いものに吸収されやすい特徴を利用して、血管腫、血管奇形、血管拡張などに有効です。
パルスダイレーザー治療の作用メカニズム
レーザーを照射することによりHbO2(酸素を持っているヘモグロビン)に選択的に吸収され、熱反応が起こります。その熱エネルギーが、血管に作用して血管が消退することで治療効果を発揮します。
パルスダイレーザーで照射することができる595nmの波長は下の図のようにHbO2(酸素を持っているヘモグロビン)に比較的よく吸収されることから血管系の治療に用いられています。図をよく見てもらうとわかるのですが、もっと吸収される波長(542nmや577nm)があるのですがレーザー光が深くまで到達せず、595nmよりも治療成績も劣っていたために世界中で595nmのレーザーが使用されています。
パルスダイレーザーの「パルス」とは、多くのレーザーは1回の照射で1発のレーザーを発振していますが、パルスダイレーザーは複数発のレーザーを発振することで疑似的に長い照射時間(ロングパルス)のレーザーを作り上げています。というのも、血管を破壊するには長い照射時間が必要なのですが、ダイレーザーでは長い照射時間を作ることが不可能なのでシナジーJでは6発のレーザーを連続で発振しています。
パルスダイレーザーの「ダイ」とは、レーザーを発振させるための材料となる物質の名称です。布機色素(染料)をアルコール、水などに溶かして使用しています。そのことからダイレーザーは別名色素レーザーとも呼ばれております。当院には他にCO2レーザー、アレキサンドライトレーザーがありますが、それぞれCO2(炭酸ガス)とアレキサンドライトをレーザー発振に利用しています。
当院の設備
サイノシュアー社のシナジーJとZimmer社のクライオ6を採用しました。
Vビーム2と同等の性能を有し、クライオ6を用いたクーリングにより副作用を最小限に抑えることが可能です。
Vビームとの違い
当院ではシナジーJを採用しておりますが、他の機器だとVビーム、Vビーム2、Vビームプリマが同系統のレーザーになります。Vビームの日本での知名度は抜群ですが、シナジーJも素晴らしいレーザーです。VビームはVビーム<Vビーム2<Vビームプリマと性能が向上していますが、当院のシナジーJはVビーム2と同等の性能を備えています。
シナジーJとVビームシリーズの大きな違いは冷却方法になります。結論から申し上げますと、シナジーJのクライオ6を用いた冷却方法の方が優れていると考えています。治療をしたい赤み=血管は皮膚の深いところにあるのですが、そこにレーザーが到達するまでに皮膚の表面で熱反応が起こったり、ヘモグロビンで生じた熱が皮膚に届いたりすることより皮膚がやけどしてしまう可能性があります。それを予防するためパルスダイレーザー治療には皮膚の冷却が必要不可欠です。安定した冷却方法は副作用の軽減のみならず治療効果にも影響します。
クライオ6の冷却には強さの調節が可能で継続的に、また冷却時間も自由自在な冷風を用いています。安定的に一様に冷却することが可能で、過冷却も起こりません。一方、Vビームシリーズは冷却ガスを噴射する方法を取っています。この方法はスペースも取らずに簡便なのですが、冷却しすぎる可能性や一様に冷却できない可能性があります。また、レーザーを打った後にもう少し冷却したいなと思ってもそのような使い方はできません。
シナジーJのクライオ6を用いた冷却システムの弱点は、クライオ6が必要になるためにスペースとお金がかかってしまう所です。
保険適応の疾患
- 単純性血管腫(毛細血管奇形、正中部母斑、サーモンパッチ、ポートワイン母斑)
- 苺状血管腫(乳児血管腫)
- 毛細血管拡張症
レーザー治療の流れ
①洗顔
照射部のお化粧や日焼け止めを完全に落としてもらいます。
パウダールームがありますのでご利用ください。
メイク落とし、クレンジング剤は準備しております。
②写真撮影
患部の写真撮影を行います。効果判定に使用します。
③眼球保護
アイガードやアイシールドにより眼球をレーザーから守ります。
まぶたの施術の場合は点眼麻酔の上でコンタクトシェルを使用します。
④レーザー照射
クライオ6の冷風を用いてクーリングを行いながらシナジーJを用いてパルスダイレーザーを照射します。
⑤クーリング
クライオ6を用いてクーリングを行います。
⑥軟膏塗布
軟膏の塗布を行います。病変の種類や患部の状態によって塗布する外用薬を選択します。
パルスダイレーザー治療のメリット
- 治療効果が期待できる(苺状血管腫以外、自然消退は期待できない)
- ほぼ唯一の治療方法
パルスダイレーザー治療のデメリット
- 効果が不十分のことや無効例も存在する
- レーザー照射は痛みを伴う(塗る局所麻酔の使用が可能です)
- 照射部位は遮光が必要
リスク・副作用・注意事項
- 内出血や紫斑を生じることがあります(多くの場合は1週間程で消退しますが、強く照射する場合はそれ以上かかる場合もあります)
- 炎症後色素沈着を起こす可能性が数%あります(3~6か月間で消失することが多いです)
- 炎症後色素脱失を起こす可能性が数%あります(3~6か月間で消失することが多いです)
- 瘢痕を形成する可能性が極わずかにあります(かきむしった場合がほとんどです)
- 治療効果を評価するために定期的に写真撮影を行います。
料金
保険点数は面積によって変わってきます。
~10㎠ | 2170点 | 3割負担で6,510円、 1割負担で2,170円 |
~20㎠ | 2670点 | 3割負担で8,010円、 1割負担で2,670円 |
~30㎠ | 3170点 | 3割負担で9,510円、 1割負担で3,170円 |
~40㎠ | 3670点 | 3割負担で11,010円、1割負担で3,670円 |
~50㎠ | 4170点 | 3割負担で12,510円、1割負担で4,170円 |
~60㎠ | 4670点 | 3割負担で14,010円、1割負担で4,670円 |
~70㎠ | 5170点 | 3割負担で15,510円、1割負担で5,170円 |
~80㎠ | 5670点 | 3割負担で17,010円、1割負担で5,670円 |
~90㎠ | 6170点 | 3割負担で18,510円、1割負担で6,170円 |
~100㎠ | 6670点 | 3割負担で20,010円、1割負担で6,670円 |
~110㎠ | 7170点 | 3割負担で21,510円、1割負担で7,170円 |
~120㎠ | 7670点 | 3割負担で23,010円、1割負担で7,670円 |
~130㎠ | 8170点 | 3割負担で24,510円、1割負担で8,170円 |
~140㎠ | 8670点 | 3割負担で26,010円、1割負担で8,670円 |
~150㎠ | 9170点 | 3割負担で27,510円、1割負担で9,170円 |
~16㎠ | 9670点 | 3割負担で29,010円、1割負担で9,670円 |
~170㎠ | 10170点 | 3割負担で30,510円、1割負担で10,170円 |
171㎠~ | 10670点 | 3割負担で32,010円、1割負担で10,670円 |
尚、その他に初再診料などがかかります。
Q&A
Qダウンタイムはありますか?
- A
- 赤い点状の出血や紫色の内出血が起こる可能性があります。多くの場合は1週間程で消退しますが、強く照射する場合はそれ以上かかる場合もあります。通常は上からお化粧が可能です。
Q治療回数の目安はどのくらいですか?また、回数制限はありますか?
- A
- 単純性血管腫で概ね5~10回、苺状血管腫で概ね5~15回、毛細血管拡張症で概ね2~5回です。回数制限はありません。
Q外来通院は必要ですか?
- A
- レーザー治療1週間後に診察を行っております。その後は1-2か月に1度経過観察を行います。効果の確認、追加治療の必要性や時期について判断します。
Q治療間隔はどのくらいですか?
- A
- 3か月以上の間隔で治療を行っていきます。
Q治療時間はどのくらいですか?
- A
- 治療する面積によって異なります。数分~10分程度です。
Q痛みはありますか?
- A
- 痛みはありますが、冷風機による冷却により我慢できることが多いです。麻酔の塗り薬も使用可能ですが病態によっては治療効果が弱まる可能性があります。
医院名 |
世田谷そのだ皮膚科 |
院長 |
園田広弥 |
診療科目 |
皮膚科・腫瘍皮膚科・アレルギー科 小児皮膚科・美容皮膚科 |
住所 |
〒154-0017 世田谷区世田谷4-1-3 世田谷医療COMMUNITY 4階 |
TEL |
03-3420-5005 |
最寄り駅 |
東急世田谷線 松陰神社前駅より徒歩2分 世田谷駅より徒歩6分 |
駐車場 |
共同駐車場6台分有り |
休診日 |
日・祝 |
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日・祝 |
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09:30~12:30 | ● | ● | ● | ● | ● | ★ | - |
14:30~15:00 | 手術 | 手術 | 手術 | 手術 | 手術 | - | - |
15:00~18:30 | ● | ● | ● | ● | ● | - | - |
★9:30~14:30
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