皮膚科豆知識 Quality of life｜世田谷そのだ皮膚科｜松陰神社前駅

皮膚科疾患のQuality of life（生活の質）

皮膚科疾患は眼に見えるため他人の目を気にしたり、自分で気になってしまいます。また、かゆみを伴うことが多いのも特徴です。かゆみが生活の質に与える影響は、虫刺されの状態が毎日続くことを想像してもらえるとわかると思います。
アメリカで1999年にStephen Rらによって報告された興味深い論文があります。
SF-36という170か国以上に翻訳され国際的に広く使用されている、Quality of lifeを測定する尺度を用いた研究です。
健康成人、高血圧、2型糖尿病、心筋梗塞、心不全、癌、関節炎、皮膚炎、乾癬、慢性肺疾患、うつ病の11疾患における身体的Quality of lifeと精神的Quality of lifeの比較がなされました。国民平均値を偏差値50として、偏差値を計算したところ以下のグラフのようになりました。

皮膚炎は身体的Quality of lifeは疾患群の中で最も障害度が低いにも関わらず、精神的Quality of lifeは数ある疾患の中でも障害度が高い結果でした。乾癬に至っては、身体的Quality of lifeは心不全に次いで障害度が高く、精神的Quality of lifeはうつ病、慢性肺疾患に次いで障害度が高い結果だった。
皮膚科疾患を抱える方の悩みは大きく、それが病状を悪化させる悪循環に陥っている人も少なくありません。身体的、精神的Quality of lifeの向上に寄与するべく診療できればと思います。

参考文献）Psoriasis causes as much disability as other major medical diseases, Stephen R. Rapp et al : J Am Acad Dermatol 1999 ; 41 : 401-407